防犯カメラ・監視カメラの防塵・防水性能について

防犯カメラ・監視カメラを屋外や水が掛かる場所へ設置する場合、設置するカメラがどの程度の防塵・防水性能を備えているのか確認することが大切です。
防塵・防水性能によって設置できる環境が異なりますので、設置環境に合った防塵・防水性能を備えた防犯カメラを選定する必要があります。

防犯カメラの防塵・防水性能は、仕様書などに防水規格として「IP65」や「IP66」などと記載されています。この表示によりその製品の防塵・防水性能がどの程度かを知ることができます。この防水規格「IP65」や「IP66」などの表示は、IEC(国際電気標準会議)やJIS(日本工業規格)で定められた【電気機器内への異物の侵入に対する保護の等級】を表し、具体的には下記の通り定められています。

第1記号:外来固形物に対する保護等級 0~6

第一特性数字 保護の程度
種類 説明
0 無保護 特に保護されていない。
1 50mmより大きい
固形物に対する保護
人体の表面積の大きな部分、例えば手などが誤って内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。
直径50mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
2 12.5mmより大きい
固形物に対する保護
指先、または長さが80mm 超えない指先類似物が内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。
直径12.5mm を超える固形物が内部に侵入しない。
3 2.5mmより大きい
固形物に対する保護
直径または厚さが2.5mm を超える工具やワイヤなどの固形物体が内部に侵入しない。
4 1.0mmより大きい
固形物に対する保護
直径または厚さが1.0mm を超えるワイヤや鋼帯などの固形物体の先端が内部に侵入しない。
5 防塵形 粉塵が内部に侵入することを防止する。
若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しない。
6 耐塵形 粉塵が内部に侵入しない。

第2記号:水の侵入に対する保護等級 0~8

第二特性数字 保護の程度
種類 説明
0 無保護   特に保護されていない。
1 滴下する水に対する保護 防滴形 鉛直に落下する水滴によって有害な影響をうけない。
2 15°傾斜した時
落下する水に対する保護
防滴形 正常な取付位置より15°以内の範囲で傾斜したとき、
鉛直に落下する水滴によって有害な影響をうけない。
3 噴霧水に対する保護 防雨形 鉛直から60°以内の噴霧状に落下する水によって有害な影響をうけない。
4 飛沫に対する保護 防まつ形 いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響をうけない。
5 噴流水に対する保護 防噴流形 いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響をうけない。
6 波浪に対する保護 耐水形 波浪または、いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響をうけない。
7 水中への浸漬に対する保護 防浸形 規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響をうけない。
8 水没に対する保護 水中形 製造者によって規定される条件に従って、連続的に水中に置かれる場合に適する。
原則として完全密閉構造である。

防水規格IP表示例

IP65の場合
・防塵形なので粉塵が内部に侵入しない
・いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響をうけない
台風などの激しい雨の場合には浸水の恐れがある為、防滴型カメラは主にIP65となります。
雨ざらしの環境下では浸水リスクがありますので、IP65以下の防犯カメラは軒下への設置が推奨されます。

IP66の場合
・防塵形なので粉塵が内部に侵入しない
・いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響をうけない
台風などの激しい雨でも浸水の恐れがない防水性能の為、防雨型カメラが主にIP66となります。
IP66の防水カメラは、ケーブル部分などをしっかりと防水処理を行うことで、雨ざらしの環境下への設置に対応します。

IP67の場合
・防塵形なので粉塵が内部に侵入しない
・規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響をうけない
一定時間、水中に浸漬しても浸水の恐れない防水性の為、高防水性の防雨型カメラがIP67となります。
短時間であれば水中での使用も可能ですが、長時間または一定以上の水圧がかかった場合には浸水リスクがあります。

IP68の場合
・防塵形なので粉塵が内部に侵入しない
・連続的に水中に置かれる場合に適する
水中内での使用が可能な完全防水型カメラがIP68となります。
水中内で撮影する場合には、IP68に適合したカメラを推奨します。

防犯カメラ・監視カメラを屋外に設置する際の注意点

前項の内容から、防犯カメラを屋外に設置する場合、軒下であればIP65でも設置できますが、雨ざらしの環境下となる場合にはIP66以上の防犯カメラを選定する必要があります。どうしてもIP65以下の防犯カメラを軒下以外に設置する場合は、庇を設けるなどの工夫が必要となります。

また、一部の完全防水型を除き、防犯カメラの本体は防塵・防水性能を有していても、ケーブルの接合部(コネクタなど)は防塵・防水仕様ではありません。
その為、下記のような防水対策、防水処理を施して設置しましょう。

  • ケーブル接合部を防水プルボックスやユニバーサルボックス内に収納する
  • 防水型ジャンクションボックス一体型カメラを設置する
  • 防水型ジャンクションボックスと組み合わせて設置する
  • 防水型プルボックスと組み合わせて設置する

【ケーブル接合部を保護】

【防水型ジャンクションボックス一体型カメラ】

【防水型プルボックスへの設置】